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小千谷に昔から伝わる伝説や、地名の由来をご紹介します。
雪国は伝説の宝庫です。とりわけ小千谷には、興味深い伝説や昔ばなしのかずかずが伝わっています。
山の城跡、谷間の古池、森の中にひっそりたたずむ社、また、道ばたの塚や苔むす祠、それぞれに忘れがたい物語が秘められています。 五十嵐秀太郎著「小千谷の伝説」(恒文社)には、そんなたくさんの物語が収められています。
小千谷を訪れた時には、ぜひ見て、触れて、イメージをふくらませてみてください。 | 五十嵐秀太郎著「小千谷の伝説」(恒文社) 定価2,000円 サンプラザにてお求めいただけます。
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この季節、吹雪の夜に外で物音がすると怖くなってしまいます^^;
千谷沢(ちやざわ)村の宗兵ェは、女衆が冬のあいだ縮を織る原料の青苧(あおそ)を買いに小千谷へ出かけました。
久しぶりに親せきの家に寄って、夕方、帰ろうとするころから、急に空模様がかわって吹雪になりました。
「この吹雪じゃ、峠越えは無理だすけ、泊まっていがっしえんし」
と止めるのを、
「なあに、なれた道だんだんが大丈夫だいの、そんに、今日は帰るというてきたんだんが、心配すると悪いすけのし」
とふり切って出かけました。
山谷から峠にかかります。この峠は柏崎から直江津に通ずる道で冬でも人通りは絶えないのですが、今日は吹雪のためか、人もあまり通りません。降り積もった雪は、かんじきをはいてもひざまでもぐります。
宗兵ェは、白く降りしきる雪で見通しもきかない夕やみの中を、ようやく峠の上までたどりつき、すっかり雪にうまってしまった薬師さまにお祈りをしました。
山を越えると、西風をまともにうけて、ものすごい吹雪でした。横なぐりに渦を巻いて吹きつける雪、杉の枝からなだれ落ちる雪がどどっと行先をふさぎます。あたりはいよいよ暗くなって地形も方向もまったくわかりません。こざいても、こざいても、里の灯も見えません。さすがの宗兵ェも疲れと恐ろしさに足がふるえました。
そのとき、うず巻く風に足もとをさらわれ「ドドーッ」と崖の下に落ち込みました。体がすっぽり雪の中にはまりこみ、身動きもできません。雪のふとんにつつまれた感じで、体じゅうが温かくなり、何ともいわれぬいい気分で、うとうとと眠りかけました。
そのとき、
「宗兵ェ、宗兵ェ」と呼ぶ声に、ハッとわれにかえった宗兵ェは、
「これはいけない。雪の中で眠ると死ぬ」
と気がついて、体じゅうの力をふりしぼって雪の中からもがき出ました。やっと雪の上にはい出すと、すぐ近くに人が立っているのに気づきました。
見上げると、白い着物を着た、雪のように白い顔の女でした。
女は宗兵ェをじっと見つめていましたが、
「私についてきなさい」
というと、先に立って歩き出しました。あたりは真っ暗やみなのに、女の姿だけははっきり白く見え、雪の上をすべるように歩くのですが、足あとがありません。宗兵ェは不思議に思いましたが、今はそれどころではありません。疲れも忘れて、一生懸命、女のあとについて歩きました。
どのくらい時間がたったのでしょう。先を歩いていた白い姿が止まりました。宗兵ェが足をとめて見上げると、女が手をあげて向こうを指差します。見ると、そこには千谷村の入り口でした。ホッとして女の方へ目を移すと、女は宗兵ェを見つめたまま、音もなくあとずさりし、雪の中へ消えていってしまったのです。
家では、家じゅうの者が寝ずに宗兵ェの帰りを待っていました。話をきいた父親は
「そらあ雪女にちがいねぇ。雪女にあうと死ぬってこったが、お前はよく助かったな」
といいました。伝え聞いた村の人たちは、
「宗兵ェは親孝行で男っぷりもいいんだんが、雪女が助けたがんだいの」とうわさしあったということです。
※※※小千谷の方言※※※
女衆・・・おんなしょ
無理だすけ・・・無理だから
泊まっていがっしえんし・・・泊まっていきなさい
なれた道だんだんが・・・慣れた道だから
帰るというてきたんだんが・・・帰ると言ってきたから
悪いすけのし・・・悪いから
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