むかし、京都の東本願寺というお寺を造りかえる大工事がありました。
国じゅうの信者がお金を寄進したり、工事の手伝いに出かけたりしました。
そのときのことです。
働いている大勢の人びとにたちまじって、かいがいしく働いている三人の娘がいました。きわ立った美しさと、疲れを知らない働きぶりで、人びとの目をひいていました。
感心した本願寺の僧が、三人を呼びとめて聞きました。
「あなた方はどこから来られたのですか?」
「はい、私どもは越後の魚沼郡の時水というところからまいりました」
「で、お名前は」
「私は杉と申します。この二人は妹で、松と藤と申します」ということでした。
工事はぶじに終わりました。
東本願寺では、三人の働きに感激して、三人姉妹への感謝状を時水村の庄屋へとどけました。
庄屋はさっそく村じゅうに聞き合わせましたが、時水から京都まで手伝いに行った者はいません。お杉、お松、お藤という名の三人姉妹も村にいません。
その話が村じゅうに広がると、村の人たちは、
「そういえば、今年は勝覚寺(しょうかくじ)の大杉と大松は新しい葉っぱが出んかったし、あの白藤の花も咲かんかったざいのし」
「あの杉と松と藤が、人の姿んなって御本山へ手伝いに行ったがんだのし」
「ほんに不思議なこったのし」とうわさしあったということです。
いま、杉と松は枯れてしまいました。藤は老木になりましたが、毎年、初夏のころになると、美しく白い花を咲かせています。
※勝覚寺は時水城山の麓にあります。時水城山は西山山系の遊歩道があり、絶好のハイキングスポットです。
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 勝覚寺にある藤の木です |
 毎年きれいな花を咲かせます |
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